人生最高! カワイイ子がいる風景

まるで、若者向けのストリートファッション誌風の大学案内は『東京グラフィティ』という読者参加型雑誌の編集長が手掛ける。ファッションチェック風の写真の間に、ときおり学部長が混ざっている。高校生にとっては、立場が偉いおじさんよりも、オシャレな近大生のほうがエライはず。だから、この誌面ではオシャレな学生のほうがスーツ姿の学部長よりも扱いが大きい。

誌面にはほかにもカラフルな部屋で1人暮らしを楽しむ姿、友達とカフェ風のランチを食べる学食風景、そして「近大美男子・美少女図鑑」まで登場する。「こいつかわいい!」「この男の子ヤバくない?」と仲間と見て楽しむ大学案内。高校生が大学生活に具体的な夢が持てそうだ。

「大学時代は、人生の最高の時。私の持論は“いい彼女が1人見つかったら、そいつの大学時代は楽しいはず”というものです。いくら勉強しても、彼女・彼氏が見つからないと4年間はつまらない」と世耕さん。

人を動かすために必要なのは、理屈ではなく、相手の心情にあわせることだ。難しいマグロ養殖の専門用語を並べるよりも、山の頂きからマグロが頭を突き出して「世界初」。大学案内を見て「この大学はカワイイ子が多いなぁ!」……これでいい。まずは「ここに行ったら、こんなに楽しい」とより具体的にイメージできることが、近大への興味を喚起する効果を生む。教育、研究内容に踏み込むのはその次のステップだ。

近畿大学広報部は、まじめに楽しいことを仕掛けいく。だから、誰もが人に伝えたくなって、対費用効果の高い広がりを見せる。さて、私たちの身にあてはめ、自分のターゲットにあわせて実践するなら、日本一、タブー、自虐ネタ、等身大の感情移入……どこから手をつけたらいいだろう。ネタは身近に転がっているものだ。

そして、マスメディアもSNSも常に“ネタ”を探していることを再度心にとめて、ビジネスにも生かしていきたい。

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