大学は“氷河期”へと向かっている。国立社会保障・人口問題研究所によると、2002年に約150万人だった18歳人口は12年に約120万人へ落ち込み、さらに30年には約100万人まで減少するという予測だ。少子化で“市場”が縮小するなか、大学側が“売り上げ”を維持するには大学進学率を高めるしかないが、進学問題にくわしいコラムニストのオバタカズユキ氏は「非現実的」と手厳しい。
「30年には大学進学率を70%まで引き上げなければ、現在の大学定員枠は埋まらない。高校生の進学率は専門学校なども含めるとすでに約70%で飽和状態だ。しかも、日本経済の先行きは楽観できない。収入が減れば親は学資を捻出できなくなり、大学生の就職難もますます深刻になるだろう。費用対効果を考え、大学に進学しないケースがむしろ増えていく可能性もある」(オバタ氏)
現在、国公立大学では、東大を頂点とした旧七帝大(北海道大、東北大、東大、名古屋大、京大、大阪大、九州大)が、ヒエラルキーをもって君臨している。私立大学では早稲田、慶應を双璧として、関東では上智、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)、関西では関関同立(関西学院、関西、同志社、立命館)といった有名校がベスト大学の上位グループを占めている。ただし、少子化が進んでも、この構図は基本的に10年後も20年後も変わらないというのが大方の見方である。その理由の1つが“人脈”だ。
有名大学を見渡すと、共通点に気づく。辛口の大学論で知られる経済評論家の島野清志氏は、「一流大学、有名大学には総合大学、歴史の古い大学が多い。そうした大学の人脈は量も質も違う」と分析する。学生数が多ければ、社会で活躍する卒業生も多くなる。さらに注目すべきは歴史の重みだ。学生数が同じでも、創立100年の大学には、創立10年の大学に比べて10倍以上の卒業生がいる。歴史が古い大学ほど、有力者も多く輩出している。
社会に出てから“コネクション”のありがたみが身にしみた人は少なくないはずだ。就職でもビジネスでもコネが成否を左右する。「地縁、血縁に次いで影響力のあるコネが大学の同門。一生ついて回ることが本音ではわかっているから、誰もが学歴にこだわる」(島野氏)。
一流大学、有名大学に人気があるのは、学生が優秀で社会的評価が高いからだけではない。卒業生の人脈という“資産”も得られ、社会で成功する確率が高くなるからだ。それゆえ、有名大学は新しい優秀な人材を集め続け、人脈はますますグレードアップしていくわけだ。