ほとんどがごみ箱に直行
挨拶メールは、よほどしっかりしたものでない限り、ただのダイレクトメールとして、ごみ箱に直行ということが多いだろう。私が辟易するのは、洋服販売のメールだ。60代の私に若者向けの服を売ろうとするのは論外だし、私のように大柄な人間は、ほとんどの場合、オーダーメードでなければ服が合わない。誰に向けても同じ内容で送りつけているのだろうと思われた時点で、失格なのだ。
では、有効な挨拶メールとはどんなものか。まずは具体性があることだ。自分に向けて書かれていることが明確なら、読んでみるかという気になる。そして、会ってみたいと思わせる具体的な根拠が書かれているか。コスト削減の提案なら、導入すればどれほどコストが下がるか、他社のサービスと具体的にどう違うのか。そういった点にふれていれば、私も担当者に話を回してみようという気にもなる。
また、書面でアポを取ろうとするのは厳禁。「いつでも伺うので、お手すきのときにご連絡ください」であれば好印象だ。
北尾吉孝社長が添削!「メール1通で相手を口説き落とすコツ」
【×BEFORE】
(1)一番大切な売り込みの内容なのに具体性がなく、わかりにくい。どの記事のどんな内容を見て連絡してきたのか、新製品がどう役に立つのかを伝えたい。
(2)自分の都合で日程を指定すれば、忙しくて無理だなと切って捨てられるだろう。話を聞いてもらうには、相手の都合が最優先だ。
【○AFTER】
(1)何の記事を読んだのか具体的でいい。
(2)売り込みたい最新機器の長所が具体的でわかりやすい。また、最新機器によって、どのようなメリットがあるのかも明確だ。
(3)導入例として、その最新機器を導入することで、どの程度のコストを削減できたのかが伝われば、話を聞いてみようと思ってもらえるだろう。
(4)相手の都合に合わせようという姿勢が明確でいい。
1951年生まれ。兵庫県立神戸高校卒。慶應義塾大学経済学部卒業後、野村証券入社。92年事業法人三部長。95年ソフトバンクに転じて、常務取締役に。99年ソフトバンク・インベストメント(現SBIHD)設立、代表取締役執行役員社長。