ジョブズもプレゼン前は瞑想していた

このマインドフルネスは特にシリコンバレーでもっとも流行っています。その理由は、そこに最も先進的なビジネス文化があるからだと思います。シリコンバレーには、リスクを取り、新しいことに挑戦する長い歴史があり、常に時代の最先端をいく環境が整っています。

マインドフルネスがシリコンバレーに定着する以前でもスティーブ・ジョブズは瞑想を実践してきたことで有名です。彼が瞑想をしてアイデアを考案し大成功をしたのだったら、自分もうまくいくはずだ、と思ってマインドフルネスを始めた人もいます。セールスフォースのCEOであるマーク・ベニオフやMediumを運営している、ツイッターの創設者エバン・ウィリアムズもそうです。

シリコンバレーの文化は先進的で、誰よりもスマホに四六時中依存しているので、マインドフルネスに対して、ある種の解毒剤として関心を向けるのはごく当然のことだと思います。

なかでも熱心に実践しているのがグーグルです。私は同社の「サーチ・インサイド・ユアセルフ」という社内プログラムに参加したことがあります。これは継続的に行われているプログラムで、本社があるシリコンバレーだけではなく、ニューヨークや他の支社でも行われています。

プログラムは、1クラス約20人、10週間のコースで、毎週1回3時間ずつ行われます。私は2日間参加し、1日目は瞑想のほかにEQの測定方法、実践方法などの説明を受けました。そして、グーグルで働くということはどういうことか、どういうチャレンジが待ち受けているのかを聞きました。そんな挑戦に立ち向かう際、瞑想すると脳にどんな変化が起きるかについても具体的に説明されました。困難な状況に直面したときに、できるだけ対立を生まないようにいかにマインドフルネスを使うか、実践から考えていくのです。