「深夜のウォーキング」にも挑戦

ついにユニフォームと決別する時がきた。来年2月のプロ野球キャンプには評論家として、沖縄入りすることになる。さみしさは?

「この間、ナゴヤ球場に行って、ロッカールームを整理している時、こうユニフォームを眺めて、もうこれを着てグラウンドには入られないのかというさみしさがありましたので……。もしかすると、北谷球場とか行ってね、これまではグラウンドでアップしたり、ゴロのボールを捕ったりしていましたけど、もうそれはしちゃいけないということになると、ちょっとさみしいなと思うでしょうね」

選ばれし者の集うプロ野球にあって、32年もの間、現役で奮闘してきたのである。野球が大好きだったに決まっている。趣味のラジコンも解禁となったのだが、「野球が趣味だったんだなとすごく思う。野球から離れているので、今は野球がしたくてしょうがない」としみじみ言うのである。

最近は毎夜、必ず、1時間は歩くようにしている。「この間は夜11時過ぎに名古屋に着いたんですけど、午前1時ぐらいまで歩いたりね。ちょっと不審者みたいになっていますけど。元が大きいので、引退して太らないようにね。今持っているスーツが着れるようがんばっていきたい」。楽天家のようで、自己管理を忘れない。それがレジェンド山本昌の流儀なのである。

松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。
(松瀬 学=撮影)
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