豪快に振り返る32年

いつも前向き。決して偉ぶることはない。トークショーでは、ユーモアと豊かな言い回しで、山本さんは現役時代を振り返った。元巨人の松井秀喜さんとの対決を述懐。

「松井くんがプロに入ったときはカモだった。でも、3年目からは手がつけられなくなった。(巨人を離れる)最後の東京ドームの巨人戦では松井くんから3打席3三振。惜別のピッチングは3三振でした。あのときは松井くんにだけ、一生懸命、投げたんです」

よく打たれたのが、元ヤクルトの古田敦也さんだそうだ。イヤだったのは、巨人などで活躍した清原和博さんだった。

「清原くんが調子がいい時は、低めのワンバウンドしそうなボールでもホームランを打つんです、ライトスタンドに。あれがイヤでした。たしか清原くんが故障明けで出てきて、ワンバウンドしそうなボールをライトに打ったんです。あの時の東京ドームの割れんばかりの歓声は忘れられないですね」

沖縄キャンプの話題になれば、45歳くらいからはキャンプインの前日には入るようになったそうだ。好天の下、タクシーに乗って海岸沿いを走っていると、「今年もまた、キャンプにこられたな」と感じた。ラスト5年は、毎年、「これが最後かもしれない」と覚悟を決めていた。だから日々、全力投球。