なぜ「天皇皇后両陛下」が夫婦の理想か?
(5)大切な人を一生大事にできる
日本は謙譲の文化である。
自分、あるいは自分の家庭を少し低く表現することで、相手とのコミュニケーションをとっているのである。そのことにも多分に影響されているからか、「褒められる」ことに慣れていない人は多い。
「素敵な奥さま(旦那さま)ですね! 羨ましい」
と言われたとしても、返す言葉は「謙遜」だらけになるだろう。
そんなへりくだり習慣の反動なのだろうか。自分が本当に大切にしないといけない人(その人なしには生きていけない人)に、一番ぞんざいな態度を浴びせてしまう女は少なくない。
何の保障もないのに、その相手は永遠に自分のそばにいて、自分を無条件に愛してくれると思い込んでいるかのようだ。
「愛とは信頼と尊敬であり、育てるもの」である。慈しんで、大切に育てなければすぐに枯れていく運命を持っていると思う。
これは女にとってもそうだが、男にとっても同じである。このことを意識できている人が結局、一番、幸せの中に包まれていると思う。
私には男と女の関係で一番、素敵だなと思っている話がある。畏れ多いが、天皇皇后両陛下がご自身の銀婚式での記者会見で述べられたお言葉がそれである。
確か、記者の「互いに何点差し上げられますか?」との質問におふたりはこう答えられたという記憶を持っている。
陛下はこうおっしゃった。
「点ではなく、努力賞を」
それを受けて、皇后さまもこうおっしゃった。
「私もお点ではなく、感謝状を」
70億もの人が暮らしている地球で、縁があり、夫婦、あるいは恋人となった人と長い年月を重ねながら、互いに信頼と尊敬の気持ちを積み重ねていけるならば、これ以上の幸せはない。
この5項目すべてをいついかなる時にも持ち続けることは容易ではない。
しかし、ほんの少し、意識を変えることによって、幸せはあなたのこころを確実にノックするだろう。