なぜ負の感情を完全に格納できるのか?
(2)引きずらない
過去に受けた仕打ちを繰り返し思い出す女のことを「反すう女」という。男が全力で逃げるタイプの典型例だ。
幸せになる女は「引きずらない」。
過去の出来事を反すうしても、幸せは訪れないことを知っているのだ。
あるところに小うるさい夫が住んでいる。お湯すら沸かせないくせに、食べ物に関するうんちくが多いタイプである。
ある日の夕飯時、妻は「もう一品、付けようかな」という仏心でポテトサラダを紀伊国屋(高級食材スーパー)へ買いに走った。夫が帰り付く時間を計算して、作るよりも買った方が早いという判断だったのだ。
夫はそのポテトサラダに箸をつけるなり「これ、手作りじゃないだろ?」と言い捨てたのだそうだ。「こいつ、手を抜きやがったな(怒)」という意味である。
妻はその瞬間、猛烈に頭に来て、こう言い放った。
「謝りなさいよ!」
思いやりで「もう一品」わざわざ買いに行くという労力まで払って食卓に並べた妻に何という狼藉! 許せん! ということだ。
結局、この小うるさい男が謝って、その場は収まったが、この女の凄いところは以後、このことを二度と蒸し返さないところである。
その場で「これはおかしい」と思ったことを口にし、無事に解決したのだから、もうその問題は過去完了形。終わった出来事なのだそうだ。
引きずらない女は「今、この瞬間」を生きている。一瞬、一瞬を大事にできる女が積み重ねている人生が幸せでないはずがない。
おそらくこうした女とて「負の記憶」を忘れているわけではない。どこかにしっかり格納して、漏れ出ないようにしている。そういう感情の整理ができる人間的な分厚さは、凄みのオーラとなって現れる。