面接官が聞きたい失敗談と苦労話
私はよく、面接前の人たちに「具体的なエピソードをたくさん用意しておきなさい」とアドバイスしている。「私は粘り強い性格です」というだけでなく、「壁にぶち当たったとき、このようにして乗り越えた」「○年間ひとつのことをやり続けた」など、PREP法に則って事実を補完していく必要があるからだ。
その際、意識して集めてほしいのは、「失敗談」と「苦労話」だ。これは、一見して「いい話」ではないため、多くの人は面接で積極的に語ろうとはしない。しかし、面接官とて人間だ。「○○の大会で優勝しました」「こんな実績があります」と自慢話を聞かされるより、「こんな失敗をしてしまった」という話のほうが「それで、どうなったの?」と聞く気になる。もちろん、そこで「上司に怒られました」と締めくくるようでは論外だが、「このように挽回しました」「改善策を立てたところ、社内のほかの部署でもミスが減りました」などと語れれば、ひとつの立派なドラマになる。
中途採用やヘッドハンティングなどの面接では、過去のエピソードの中でも特に実績、いわゆる「数字」が重要になってくる。いくら「御社の売り上げを倍増させます」とアピールしても、それは単にやる気があると言っただけのこと。これまでに積み上げてきた数字だけが「目の前の人物にいくら報酬を支払うべきか」を導き出す手がかりになるのだ。そのため、面接前には自分を端的に表現するキーワードとなるような「数字」を洗い出し、何が相手に響くかを考えて、じっくり戦略を練る必要がある。