8月1日、大学生の就職・採用活動が開始された。経団連が2016年卒入社組から採用面接は8月への「後ろ倒し」を要請したからだ。最近の採用面接のチェックポイントのひとうがグローバル素養の有無だという。面接の返事の仕方ひとつで、採用の当落が決まるという。いま採用面接で何が重要なのか。『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著 プレジデント社)より、「後ろ倒し」された「就活」最新事情をお届けする。
返事の仕方1つでも採用の当落が決まる
最近の面接のチェックポイントのひとつが「海外に行かせても大丈夫か」というグローバル素養です。語学ができるのに越したことはありませんが、それ以上に大事なのは「胆力」と指摘するのは石油会社の人事課長です。
「当社の赴任先はニューヨークやパリではありません。インドやベトナムなどの新興国が主です。言葉が通じなくてもいい。物怖じしない肝が据わった度胸のある学生が欲しい。現地の文化にとけ込み、本音でぶつかり合えるような人物かどうかをチェックしています」
エンジニアリング会社の人事部長は「入社したらインドネシアの奥地に赴任できますか」という質問をして反応を見ていると言います。
「一瞬間を置いて、『えっ、はい』とか、『何年ぐらいですか』と聞いてくる学生はまずダメです。当社の社員でも海外赴任先が決まると『水は飲めるんですか。近くにスーパーはありますか』と事細かく聞いてくる社員がいますが、そういう社員に限って大概はうまくいかなくて日本に戻ってくる人が多いですね。逆に大雑把で彼なら何を食っても平気そうだなというタイプがうまくやっています」
最近は英語のTOEIC700点、800点を取得している学生は珍しくありません。だが、TOEICのスコアをまったく信用していないと語るのは、外資系IT企業の人事部長です。
「私も入社の頃はTOEIC850点で英語も得意のはずでした。ところがシンガポールに赴任すると相手にまったく通じません。最初の数カ月はのたうち回るような苦しさを味わいました。とくに相手の出方を見ながらのねばり強い商談では、TOEICのスコアがいくら高くても箸にも棒にもかかりません」
この部長が重視しているのは「瞬発力」です。面接では矢継ぎ早に質問を浴びせかけるそうです。
「そのときに黙り込む学生は海外では通用しません。こちらの意表を突くような答えを出せるかどうかを見ている」
返事の仕方ひとつでも採用の当落が決まってしまいます。
※本連載は書籍『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著)からの抜粋です。