部下に自分の失敗を紹介しよう
自分自身の成長の歩みを紹介するとき、リーダーは他の人々の成長や学習に正当性を与えることになる。自分自身の不完全さを認めることで、他の人々が過ちを犯すことも問題なしとするのである。人間は自分と同じ不完全さや弱点を持っている人と心を通わせる傾向がある。そのような人のほうが「人間らしい」と思えるのだ。とりわけ、多様性の高い職場集団では、謙虚さを示すことは、メンバーにみんな同じ人間であることや共通の目標を思い出させる助けになるだろう。
議論ではなく対話をしよう
謙虚さを実践するもうひとつの方法は、異なる視点と真剣に向き合うことだ。リーダーは他の人々の考えを変えさせることや議論に「勝つ」ことに焦点を当てることが多すぎる。このような形で議論するとき、人は自分の考えの正しさを証明することに集中するあまり、他の視点について学ぶ機会を逃してしまう。インクルーシブなリーダー、すなわち多様性を包含するリーダーは、自分自身の意図や信念を一時停止するだけの謙虚さを備えている。一時停止することで自分自身の学習を高めるだけでなく、フォロワーの独自の視点を認めることもできるのだ。
また、曖昧さや不確実さは今日のビジネス環境では当然のことだ。自分はなにもかも知っているわけではないということを謙虚に認めるとき、リーダーは他の人々が進み出て解決策を提案する余地を生み出す。さらに、相互依存の感覚も生み出す。複雑で曖昧な問題を解決する最善の策は、互いに助け合うことだということを、フォロワーたちが理解するのである。