クレームは経営を支える「金の卵」

謝罪という行為のポジティブな面を見ると、個人や企業の姿勢が問われる場面で適切な対応ができれば、信頼関係を強化する機会にもなる。コールセンターで2000本以上のクレーム対応に接した経験を持つクレーム・コンサルタントの谷厚志氏はこう語る。

「ある企業のCS推進室でロイヤルカスタマーの顧客データを調査したところ、その大半がかつてクレームを上げたことのあるお客様でした。その理由はクレームの際にしっかり対応しフォローできたことで、お客様から信頼を寄せられるようになったからです。つまり、クレーム客は経営を支えてくれる金の卵なのです」(谷氏)

大手人材派遣会社の営業本部長を務め、現在はクレーム対応研修を実施している秋元次郎氏は「クレーム対応はもっとも重要な営業スキルの一つ」と指摘する。

「売り上げを伸ばしていくには新規開拓も大切ですが、既存のお客様を失わないことのほうが重要といえます。いくら新規の顧客を獲得できても売り上げを伸ばせない営業マンは、既存顧客のアフターフォローを軽視しているのではないでしょうか。謝罪の仕方やクレーム対応のスキルが欠けていることも多いのです」(秋元氏)

コンサルティングミッション代表 秋元次郎 
損害保険会社を経て、人材派遣会社マンパワージャパンにて約20年勤務。銀座支店長、営業本部長、オペレーションサポート本部長等を歴任。2003年独立し、現職。主に派遣元事業主へのコンサルティングや派遣先向けセミナーを全国で多数実施する。

 
弁護士 間川 清 
1978年生まれ。25歳で司法試験に合格し、ポート川越中央法律事務所設立。損害賠償事件、刑事被告人弁護など年間200件以上の弁護士業務を担当。被害者への謝罪・示談交渉、悪質クレーマーへの対応等を通して謝罪術を確立。著書は『うまい謝罪』など。

 
クレーム・コンサルタント 谷 厚志 
1969年生まれ。リクルートにてCS推進室を担当。2000本以上のクレーム対応を通し「クレーム客をロイヤルカスタマーに変える方法」を確立。現在は独立して、コンサルティング・講演などを行う。著書は『「怒るお客様」こそ、神様です!』など。

 
苦情・クレーム対応アドバイザー 関根眞一 
1950年生まれ。西武百貨店にて全国3店舗のお客様相談室長および池袋本店お客様相談室を担当。在社中は1300件以上のクレーム・苦情を処理。2003年退社し、NPO事務局次長を経てメデュケーション代表取締役。著書は『となりのクレーマー』など。
(向井 渉=撮影)
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