「3倍」を「2倍」に変える法改正は簡単!
しかし、この金額を鵜呑みにすることはできない。
一見、ほとんどの人は「自分の仕事は対象業務ではないし、年収もそんなに高くないので関係ない」と思うだろう。たとえ省令ではなく法律に盛り込まれていても、この「3」という数字が曲者だ。民主党政権下で厚生労働省の政務官を務めた山井和則衆議院議員「エグゼンプションは将来的に中所得者層まで残業代をゼロにするための第一歩なのです。今回、対象は平均年収の「3倍」を上回る労働者、と法律に明記されますが、「3倍」を「2倍」に変える法改正は、1年で簡単にできます」と語っている。
新たに条項をつけ加える法改正は大変だが、3を2に変えるのは簡単にできるという。仮に平均給与額の2倍に変更すると年収は624万円。課長の手前の係長・主任クラスなど多くの労働者が対象になる。経団連の榊原定征会長は「少なくとも労働者の10%が適用できるようにしてほしい」と発言しているが、全労働者の10%は約500万人に相当する。
また、審議会でも使用者側委員の中小企業団体の代表者が「年収1000万円以上では中小企業は制度を活用できない。もっと引き下げてほしい」と要望していた。中小企業経営者などの陳情を受けて数字を変更してくる恐れも十分にあるのだ。