すべての企業に“専門家”が存在する
なるほど証券・銀行の業務については専門的知識を要する業務である。しかし、よく考えてみると証券会社の場合、株の売買やアナリスト業務、法人顧客の営業というと、それだけでほとんどの社員が該当する。情報通信業にしても、SEやコンサルタントといえば最も多い職種であり、企業によっては入社直後にプログラマー、SE、コンサルタントと職階を設けているところも多く、ほとんどの社員がこの業務に従事している。
製薬業界でも、薬の研究・生産技術の開発、そして営業職といった職種はビジネスのほとんどを網羅している。さらに人事、財務、法務というのは製薬業界に限らない。あらゆる業種に存在する職種である。たとえば、人事業務は採用、教育、人事制度企画、労働組合担当など、高度かどうかわからないが専門家がいる。
ここではたまたま4業種を列挙しているが、すべての業種に“専門家”が存在しているはずである。
つまり、高度専門職でありながら管理職ではない“その道のベテラン”はどんな職場にも存在する。こうやって1つひとつ見ていくと、要するに「何でもあり」だということがわかる。当然、厚労省も業務が多岐に及ぶことを意識しているのだろう、具体的な業務については、国会審議を経ずに随時更新できる「省令」で規定することにしている。
そして、もう1つの要件が年収だ。報告書のポイントは「(1)平均給与額の3倍を相当程度上回る」「(2)当面は年収1075万円以上」「(3)具体的金額は省令に書き込む」――の3つだ。(1)については法律に明記される。
平均給与額とは厚労省が毎月調査している「毎月勤労統計調査」の「決まって支給する給与」の12カ月分の金額。ちなみに2013年の月平均給与額は約26万円。年間で312万円。その3倍は約936万円だ。