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組織に根付く「自ら成長していく」気風

グーグルはよいマネージャーに必要な要件として、(1)よいコーチである、(2)チームに力を委ね、細かく管理しない、(3)チームメンバーそれぞれの成功や健康・幸福について興味・関心を持つ、(4)生産的で結果重視、(5)話を聞き、情報を共有できるコミュニケーター、(6)キャリア形成の手助けをする、(7)チームに対する明確なビジョンと戦略を持つ、(8)チームにアドバイスするための専門的スキルを持つ――の8つを掲げている。

この8つを実践するためにマネージャーは「ワンオンワン」と呼ぶメンバーとの1対1のミーティングを実施する。各人の仕事ぶりを確認しながらチームがうまく回るようにするにはどうすればよいのか、解決を支援するのがマネージャーの役割だ。

日本市場向け検索機能開発担当ソフトウェアエンジニアの大倉務氏は組織的には徳生氏の部下にあたる一方、マネージャーの1人でもある。しかし、そこには指示・命令の関係は存在しない。大倉氏は「上司という言葉を使わずにチームメートと呼んでいます。組織的には下にあたるメンバーから『これどうなっているの?』と聞かれ、『ごめん、まだなんだ、今日中にやるからと』と返して怒られることもあります」という。

また、上司の徳生氏についても「上司ですが、上司の言うことが常に正しくてすべて受け入れるという関係ではなく、経験も豊富で幅広い情報を持っていて、様々なフィードバックをもらえる人という感じです」と語る。

上司の徳生氏も大倉氏との関係についてこう語る。

「業界での経験は私のほうが長いし、どうして失敗するのか、成功するのか、ある程度わかります。アメリカでの経験も長いのでエグゼクティブとのコネクションもあり、どういうコミュニケーションが正しいのかといったアドバイスもします。でも、エンジニアの領域に踏み込むことはありません。マネージャーとしてよりもプロダクトマネージャーとして、彼(大倉氏)が開発に専念できるような環境をつくるのが私の仕事であり、『何でも屋』的仕事です」

(ライヴ・アート=図版作成)
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