4.どうすれば新しいことを行い、新しい製品を開発し、市場に到達する新しい方法をデザインすることができるか?
研究開発部門や新製品開発チームだけでなく、すべての社員がイノベーションを優先課題にすることがこれまで以上に不可欠になっている。確かに、ドラッカーの言う「新次元のパフォーマンスを生み出す変革」を推進する能力は誰もが等しく持っているわけではない。「他の人々より高いイノベーション能力を備えている人が明らかに存在する」と、彼は認めていた。
だが組織のすべての人が、革新的なものの見方を採り入れる必要がある。これを促進する一つの方法は、上級幹部がすべての部署から集めた25~30人の下級社員と年に2、3回集まりを持つことだと、ドラッカーは提言した。彼が提示した台本では、「上級幹部が冒頭にこう説明する。『私がここにいるのは演説したり、みなさんに何かを指示したりするためではない。みなさんの話を聞くためだ。私はみなさんの志が何なのかを聞きたいと思っている。だが、とりわけ、この会社にとっての好機がどこにあり、脅威がどこにあるとみなさんが思っているかを聞かせてもらいたい』」。このような集まりは「会社全体に起業家的ビジョンを植えつける最も効果的な方法の一つである」と、ドラッカーは言い添えた。
5.この組織の誰が、どのような情報について「私」に依存しているのか?
「誰のリストにも必ず上司と部下が入るだろう」と、ドラッカーは88年に「新しい組織の到来」と題した「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌の論文に書いた。「だが、このリストの最も重要な名前は、同僚、すなわち主として協調関係にある人々の名前である」。より多くの企業では、従来の指揮統制構造がより流動的で柔軟な仕組みに徐々に道を譲っているなかで、この考えは今日、さらに正しいものになっている。この問いを考えることは、そして自分が同僚に伝える情報が適切な形で適切なときに届くようにすることは、ドラッカーが「情報責任」をとると表現したことのうち、最も重要な部分である。誰が自分に情報を依存しているかを見極めたら、それを補足する問い「私は誰に依存しているか」を考えることが極めて重要だ。
6.この仕事がまったく行われなかった場合に何が起こるのか?
この問いを発することがこれほど適切な時代はなかった。最近あらゆるマネジャーが自分の最も貴重な資源である時間のやりくりに苦労しているからだ。『経営者の条件』で、ドラッカーは、詳細な時間の記録をとり、さまざまな仕事に実際にどのように時間が使われたかを確認するよう勧めた。記録は記憶に頼ってつけるのではなく、リアルタイムでつけよう。3~4週間後に自分が記録したことを分析し、特定の活動がそもそも遂行されなかったら結果はどうなるか考えてみよう。「答えが『何も起こらない』なら、結論は明らかに『それを行うのをやめるべきだ』である」と、ドラッカーは書いた。「多忙な人々がやらなくてもなんら支障がないことをどれほどたくさんやっているかは、呆れるほどだ」。