「少人数の会議では、聞き手に(あなたを理解していますよ)とアイコンタクトしながら話すのが重要。するとこっちの気持ちが伝わるのか、内容以上に“面白い”と思われます。プレゼンを聞いてるときも、社員の目が泳いでたら、目の合ったタイミングで(おまえ、緊張してるな。でも、大丈夫だぞ)と笑いかけるんです。そして肝心な部分では大きく頷く。すると話すほうも落ちついてきます」
面白いと感じてもらう手段は、言葉とは限らない。上田氏は“間”もたっぷり使い、ここぞという前に、数秒の間、何も言わずに沈黙する。
「ほとんど誰も聞いていない状況でも、2、3秒黙ると(話が飛んだのかな?)と注目が集まる。そのときを狙って『そ・こ・で!』とハッキリ大きな声で説明すると、聞き手の頭に入りやすい。間を使って(これはみんなが聞きたい話か? 聞かせどころの順番間違えてないか?)と頭の整理もできます」
こうした話を身振り手振りをまじえて熱弁する上田氏。話に引き込まれてしまうのは、しゃべりの技術以前に、「面白くするのに必要なのは、自ら感情移入すること」のモットーが実現されているからに違いない。
1946年、秋田県出身。山形大学文理学部卒業後、伊藤忠商事入社。2002年ファミリーマート社長に就任。13年より現職。