常勝軍団をつくりあげる3つのポイント

このように見ると、孫子は個人の才能だけに依存するのではなく、上司や組織が勝てる環境を作り上げることで、平凡な兵士を勇敢な兵士に自然に育て上げることが可能になることを指摘しています。ビジネスにおいても入社した人材が自然に育つ環境を作り上げることが、個人を叱責したり怒鳴り散らしたりするより、はるかに効果が高いのです。

個人に才能を求めすぎると、上司や企業は優れた環境を作り上げることを怠りがちになります。優秀な人の採用ばかりに注目している会社も、環境が勢いを創り出すことを忘れがちになります。孫子は、戦果を個人の適性だけに求めてしまうのではなく、指導者の環境整備の力に見出しているのです。

【常勝する軍団の3つのポイント】
・成果を上げることに必死にさせる
・仕事に熱中させること
・熱中し、必死に戦うチームをチャンスに殺到させる

もう一つ、孫子の組織論で忘れてはいけない点は「下に丸投げで成果を上げる」という発想とは180度違うことです。君主、将軍を含めたマネジメント側は、部下が成長し勝利できる戦場を見極め、仕事の成果に必死、夢中になる環境の整備という重要な役割を担っています。そのため、正しい仕事の与え方こそが部下の才能と努力を200%引き出す基本となっていることは、部下が1人でもいる上司は心に留めておく必要があるでしょう。

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