目指すのは100年先まで「社会に必要とされる会社」

――社長就任以来、公式の場では、商品そのものに言及する機会がないように感じます。これはあえてそうしているのですか。

【高橋】商品もそうですし、事業にもあまり言及はしてきませんでした。実はそれには理由があります。いまシャープは、創業102年目を迎えています。その中で、私は、次の100年とか、200年ということを強く意識しているのです。

たとえば、液晶は大きいビジネスで、50年の歴史がある。しかし、事業が大きくなったのは、ここ10年ぐらい。ソーラーも同じく50年の歴史があるが、成果が出始めたのは、この10年ほど。そう考えると、仮に私が天才的に(笑)新たな事業を考えついたとしても、100年は持たないのです。

私が残したいのは事業や商品ではなく、時々変わっていく世の中で、新たなビジネス、新たな事業、新たな商品を生み出していくような会社。できれば、1000年続く会社にしたい。

私が目指しているシャープは、「世の中にあってほしい会社」「社会に必要とされる会社」なのです。そのために新しい文化を創る。それが私の役割だと考えています。

シャープ代表取締役社長 高橋興三
1954年、大阪府生まれ。80年、静岡大学大学院工学研究科修士課程修了後、シャープ入社。2008年執行役員、10年常務執行役員、12年4月副社長執行役員、同6月代表取締役兼副社長執行役員を経て、13年6月より現職。健康・環境システム事業本部長時代にプラズマクラスターの普及、拡大を図る。米国販売会社会長時代には、液晶テレビの大型化戦略を展開。座右の銘は「あきらめへん」。
(大河原克行=インタビュー・構成 澁谷高晴=撮影 時事通信フォト=写真)
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