8月に開催されたソフトバンク新商品発表会に登壇した高橋社長。「アクオス クリスタル」はソフトバンクと傘下の米スプリントとの共同開発で、日米で同一機種を販売。シャープはグローバルモデル商品化を機に海外市場の開拓を狙う。(時事通信フォト=写真)
――スマホでは、戦略的製品として、ソフトバンクモバイルおよびスプリントとの共同開発による「アクオス クリスタル」を発表しました。この商品の狙いも通信技術を進化させるための役割だと。

【高橋】アクオス クリスタルは、シャープの要素技術を結集したフレームレス構造を採用した新たなスマホで、いままでにない視覚体験を提供することができます。また、ハーマン・カードンのスピーカーを同梱し、クリスタルサウンドによる高音質な音楽や動画を楽しむことができる点も特徴です。そうした技術を市場に提案するとともに、通信技術において進化を続ける意味でも重要です。

デザインに徹底的にこだわった「アクオス クリスタル」。縁を0.6mmに抑えたフレームレス構造のディスプレイが特徴。品質を落とさず薄型化を実現できたのは、社内に液晶の開発部門があったからこそだという。

とくに、今回のアクオス クリスタルでは、米国市場に4年ぶりに再参入することになります。いまから10年以上前までは、日本の携帯電話は最先端市場でしたが、3GやLTE環境になるに従い、キーとなるコアコンピタンスのほとんどが米国に移ってしまった。いまや、様々な通信の進化、新たな技術は、米国が先行しているのは確かです。そうした意味でも、米国市場への再参入は、当社の通信技術をどのように磨いていけるかの挑戦でもあります。最先端技術を持ち、市場競争が激しい米国で揉まれていくことで、すべての商品で世界と戦っていける通信技術を磨いていきたい。

簡単でないことは百も承知しています。しかし、アクオス クリスタルによって、チャンスの場を得たことは確かです。先日も米国を回ってきたのですが、こうした製品を持っていると、多くの人が会ってくれるんですよ。その点でも効果がありますね。