2014年3月期、2年連続の巨額赤字からV字回復を果たしたシャープ。しかしその黒字転換も、大型液晶パネル工場の売却とリストラや給与カットによる固定費削減の影響が大きい。真の再生への道すじは見えてきたのか――正念場の2年目を迎えた高橋社長に、ロングインタビューを敢行した。
「社会に必要とされる会社でなくては、これから100年は続かない。そのために新しい文化を創る。それが私の役割」――。経営再建中のシャープの舵取りを担う高橋興三社長はこう語る。
2013年6月の社長就任から、1年3カ月。業績は回復基調にあるが、自己資本比率は10%を切るなど、財務体質の改善は急務。そして、高橋社長が就任以来語る、シャープにはびこる「けったいな文化」からの脱却も、依然として重点課題だと語る。高橋社長に、経営や文化、事業という観点から、シャープのいまと未来を語ってもらった。
顧客視点、チャレンジ精神が欠如していた社員たち
――2013年度の通期連結業績では黒字化しましたが、どのようにとらえていますか。
【高橋】シャープは、11年度の3760億円の最終赤字に続き、12年度も5453億円の最終赤字を計上し、13年度は黒字化することが必達の課題でした。ここをなんとかしなくては、なにを言っても始まらない。そこにベクトルを合わせ、これはひとまず達成できた。
だが、本当の意味で大事なのは、やっぱり売上高と営業利益。これを見ると、13年度の連結売上高は前年比18.1%増の2兆9271億円、営業利益は前年の1462億円の赤字から、1085億円の黒字に転換した。まあ合格点のように見えますよね。しかし、営業利益の中には、給与カットの影響や特許関連の収入など、一時的な利益も含まれているので、本当の実力ではない。人によって見方は異なるでしょうが、アナリストには、営業利益面から見たシャープの実力は500億~700億円程度と言われています。