――自ら起業も経験された。

【玉塚】05年にファーストリテイリング副社長だった澤田貴司さんと立ち上げたのが経営支援会社のリヴァンプ。技術力やブランド力があっても経営力不足でブレークスルーできない会社を支援したいと思った。会社を数多く見てわかったのは“会社は簡単に潰れる”ということ。業績が悪い会社は、商売の原理原則から完璧にズレていた。組織はあっという間に崩壊し、会社は潰れる。怖さを痛感した。

――ローソンでは何に注力?

【玉塚】4年間で、前社長の新浪と多くのタネを蒔いてきた。今後はそのタネを花開かせて結果につなげるフェーズに入る。もともとローソンに魅力を感じたのは「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」という企業理念。刻々と変化するマチのニーズに対応すべくそれぞれのマチに合ったお店作りをしている。マチを幸せにするには、まず加盟店が元気になり高い収益を挙げること。新規出店より既存店活性化に力を入れている。ローソンらしさとは、絶えざる革新性だ。昨年から「マチの健康ステーション」として地域の健康一番店を目指し、ローソンファームで中嶋農法の高品質な野菜をつくり、小麦の外皮でつくった低糖質のブランパンなどの美味しくて健康的な商品開発にも注力している。医薬品販売も強化する。店舗、物流網やデリバリー網、そしてローソンファンのお客様といった強烈なポテンシャルがある資産を活かし、さらなるイノベーションと成長に挑むのが私の役割だと考える。

ローソン代表取締役社長 玉塚元一
1962年、東京都生まれ。85年慶應義塾大学法学部を卒業後、旭硝子入社。日本IBM、ファーストリテイリング(2002年代表取締役社長兼COO就任)を経て、05年リヴァンプ設立、代表取締役に就任。10年ローソン顧問に就任、11年同社副社長執行役員COOに就任。

出身高校:慶應義塾高校
座右の書(または最近読んだ本)
:『プロフェッショナルマネジャー』
座右の銘
:練習は不可能を可能にする
趣味
:運動全般、スキー、映画鑑賞、読書

(伊田欣司=構成 大槻純一=撮影)
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