返信がもらえないメールの代表例が長文メールだ。スクロールする手間がかかるほど、相手は返信する気をなくす。必要な情報を盛り込みつつも、用件は簡潔にまとめることが鉄則だ。

「全体の長さだけでなく、一文の長さにも気を配るべきです。句点(「。」)がなくてだらだらと続く文章をよく見かけますが、長い文は読みにくい。ただでさえ日本語は他言語に比べ、最後まで読まないと帰結がわからない不利な構造を持っています。着地点のわかりづらい複文や重文は極力避けるべき。文章はぶつ切りでいいのです」

表記のバランスも注意したい。昔から文章は“漢字3割、ひらがな7割”のバランスが読みやすいとされる。漢字の多い文章はとっつきづらく、逆にひらがなばかりの文章は薄っぺらい印
象を与える。少ない字数で表現するメールは、とくにその意識が必要だ。「私はさらにカタカナも意図的に挟み込みます。感覚でいうと、“漢字2割、ひらがな7割、カタカナ1割”。若者の間で自動車離れが起きていることを伝えるなら、『若い人のクルマ離れが進んでいる』と書く。カタカナをところどころに入れると、文章が軟らかくなって読みやすさが増します」

これらのテクニックは、他のビジネス文書にも活用できる。読みやすいメールを書く技術は、読みやすい企画書や報告書を書く技術でもある。

なかには処理すべきメールが多すぎて、ここまで気をつかってられないという人もいるだろう。

「一度に処理しようとするから大変なのです。私は朝の移動時間などを使ってケータイで用件を書き、いったんPCに転送します。ケータイの時点では表現も気にしない。挨拶文をつけて形式を整えたり、推敲は、あとでまとめてPCで行い、一気に返信します。『何を書くか』と『どう書くか』を分けて考えると、効率的に作業できるはずです」

私たちはメールと切っても切り離せない関係にある。毎日書くものだからこそ、うまくつきあいたい。

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