「捨て試合」をつくる戦略が有効だった

グループ内の対戦シミュレーションを行い、日本の決勝T進出確率を56%と予測しました。表2に、日本が2戦目までに獲得できる勝ち点の確率分布を示しましたが、勝ち点4以上となる確率は55%となり、これがある意味、T進出確率の根幹を占めていたと考えられます。

なお事前のシミュレーションでは、

日本 △-△ コートジボワール
日本 ○
● ギリシャ
ギリシャ ○
● コートジボワール

となる確率が最も高く、その結果、

日本 勝ち点4
ギリシャ 勝ち点3
コートジボワール 勝ち点1

表2:日本代表の2 戦目まで勝ち点の確率分布

で日本が決勝T進出へ最も近いと分析していました。しかし結果として日本がいるべきポジションに立ったのは、グループ内で最も評価の低かったギリシャでした。

ギリシャは初戦コロンビアに0-3と大敗しました。ギリシャがコロンビアから勝ち点を奪えない確率は87.9%だったので、これはある意味想定内だったといえましょう。その後、日本戦では1人退場者を出したにもかかわらず、最も確率の高い「1点差負け」ではなく、2番目に高かった「引き分け」とし勝ち点1を獲得。このリスクマネージメントが功を奏し、第3戦はこちらの予測による最も確率が高い事象である「勝利」を得て、勝ち点4を奪取することに成功、大逆転で決勝トーナメント進出を果たしました。これは、コロンビア戦を捨て試合として、2、3戦に照準をあわせた戦略が実を結んだ形となりました。

日本の初戦であるコートジボワール戦は、先制点をあげたものの、ボール保有率は4:6、シュートも日本の7に対して、コートジボワール19と、いつ同点に追いつかれてもおかしくない状況でした。でも事前の予測からいえば、日本は第1戦は引き分けで勝ち点1でもよしとする状況だったのです。