広島県のある会社にも、社業の功労者で60歳の定年を迎えた人は「相談役」として残れる制度があります。
ただし、それには条件があり、現役社員の推薦がないと残れません。定年前に、部下の手柄を横取りしたり、責任を取る場面で、コーナーに追いつめられたボクサーのように体を入れ替えてきた人は……、いうまでもないでしょう。
このケースが示すように、(2)「仕事はできるが性格の悪い人」を相談役として遇する必要はありません。社内外の人望も失っているから、人脈も生かせないでしょうし、持ち上げると逆に調子に乗ります。
少し面倒なのは(3)「仕事ができない人」です。60歳以上の雇用を義務づける「改正高年齢者雇用安定法」のおこぼれで再雇用されても困るのですが、来てしまった以上、仕方がない。この人たちには“ビジネス”ではなく“ワーク”をしてもらいます。単純作業や軽作業で、ひたすら汗を流させる。
実際には、再雇用者に対する現役世代の目が冷淡なことも多いのです。口には出さないけど“一丁上がりの人”といった視線ですね。
自分が再雇用されたとき、そんな視線を受けて居心地の悪い思いをしないために、40歳を過ぎたら「後輩モテ」を心がけましょう。先ほどの「さん」づけもそうですが、お互いに一人のビジネスパーソンとして向き合う。専門性を磨き、何かのときに頼りにされ、一目置かれるのが理想です。
高井尚之
1962年、愛知県生まれ。日本実業出版社、花王・情報作成部を経て現職。著書に『「解」は己の中にあり』など。