あらかじめ職務内容を定めて成果で評価する「ジョブ型雇用」は、働く人にとってどんなメリットがあるのか。日経クロステック副編集長の島津翔さんは「自分の意思でキャリア形成をしやすくなる。一方で、異動がしづらいため、事業撤退などで部署がなくなると職を失う可能性もある」という。ジョブ型に関する代表的な3つの疑問を解説する――。

※本稿は、島津翔『さよならオフィス』(日経プレミアシリーズ)の一部を再編集したものです。

忙しく歩く通勤者の群衆
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疑問①今、はやりの「ジョブ型雇用」って何?

「ジョブ型雇用」には様々な定義があるが、一般的には、従業員に対して職務領域やその具体的な内容を明確に定義し、その職務に対する成果を評価する雇用形態を指す。

政府は2020年7月17日に閣議決定した「骨太方針2020」(経済財政運営と改革の基本方針2020)の中で「ジョブ型正社員のさらなる普及・促進に向け、雇用ルールの明確化や支援に取り組む」とし、ジョブ型雇用について、「職務や勤務場所、勤務時間が限定された働き方などを選択できる雇用形態」と定義した。職務=仕事の内容を自ら選択し、その仕事のプロフェッショナルレベルや成果によって給与が決まる雇用形態と言える。

そもそもジョブ型は、労働政策研究・研修機構労働政策研究所長の濱口桂一郎氏が提唱した言葉である。濱口氏は、終身雇用制度や年功序列を特徴とする日本型雇用システムを「メンバーシップ型雇用」と名付け、それに対比する形で「ジョブ型雇用」を定義した。日本型雇用システムは、新卒者を一括で採用し、具体的な職務を決めぬまま契約するのが一般的。仕事の内容ではなく、会社という共同体の一員=メンバーシップであることを重視する。「職に就く」という厳密な意味での「就職」ではなく、この雇用形態を、会社に就くという意味で「就社」であると揶揄やゆする声もある。