威張っていても、内心は「寂しい」「かまってほしい」のです。まず、この世代を分析してみましょう。
約800万人もいる「団塊世代」(1947~49年生まれ)は、日本の総人口1億2000万人の7%近くを占めます。幼少時から人数が多く競争してきたので、何かにつけて人と競う習性があります。
もちろん個人差はありますが、あなたの周囲にも、「肩書」や「学校歴」「年齢」が上か下か、といった部分で競う人はいませんか。髪の毛が多い人はハゲをバカにし、痩せた人がデブをバカにしたがります。
現在の職場で嫌われる「権威主義」も好物です。筆者が取材した中でも、初対面で“オマエは年下か?”オーラを発し、上から目線で接するリストラ再就職者がいました。ちなみに「団塊」と、ひとくくりにされると反発しますが、世代への誇りは結構持っています。
さて、47年生まれが65歳に達した今、定年・再雇用なのに上司風を吹かせられても困りますね。
ここでのキーワードは「もう、そんな時代じゃない」を痛感させること。正規雇用から業務委託にするなど、60歳以降の雇用形態を変える会社も多いはず。元部長でも、現在の立ち位置を自覚させないと、チームワークが乱れます。
人望がない人は職場に残れない
そのために最も有効なのは、肩書ではなく「さん」で呼ぶこと。
今や年功序列は崩壊しており、職場では逆転人事も珍しくなくなりました。アイツは年下だからと、いつまでも呼び捨てや君づけで呼ぶ人は、後輩が上司になった途端に接し方に苦労します。
定年・再雇用者との向き合い方は、相手の実力やタイプによります。
まず(1)「仕事ができて性格もいい人」は、相談役を務めてもらう。
愛知県のある製造業では定年制がなく、70代の元部長(役職定年になった正社員)が高度技術者として、今でも作業現場で汗を流します。培った技術や経験を生かして、現役世代が対応に迷った際の相談も受ける。役割は「新製品・新技術の開発と後進の育成」です。
このように、役員退任後の横滑りポストとは違う、本当の意味の“相談役”になってもらうのです。