会社にぶら下がるのは難しいことではありません。会社は定型的な仕事をするようにできていますから、よほどまずいことをしない限り、ずっとぶら下がることは可能です。

一方で最近はラインの管理職に登用される人数が減らされています。多くの人が管理職ポストに就けた時代は終わり、今後は課長補佐止まりの人が増えると思います。要するに、そもそも出世できる人が少なくなっているのが現状です。

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「定年まで働きたい」7割、「見通し真っ暗」4割弱

そこで仕事は適当に、ほどほどにやっていけばよいという人はそうすればよいと思います。しかしそれで本当に納得し、心から満足できる人はどれだけいるでしょうか。私たちは1日の大半を仕事に費やしています。そんな長い時間を毎日ぶらぶら過ごして幸福だ、という人は決して多くはないはずです。まして、定年まではとてももたないでしょう。

だからみんな出世を目指して頑張るべきだ、と言っているのではありません。大企業の場合、40歳前後で管理職への登用が決まります。しかし管理職になれる人の数は限られ、なれたとしても肩書だけで本来の意味での管理職ではなく「自分は会社の中核にはいない」と感じる人がこれからは増えていくと思います。

つまり、定年まで約40年あるキャリアの中間地点で大半の人は将来の見通しがついてしまう。では、見通しがついてしまった後のキャリアをどう生きればよいのか。どうすればその後もイキイキと働けるのか。この問いは今後、個人も企業も直面する大きな問題です。

会社で働く意味を失いかけたとき、みんな考えるのが「辞めて独立するか、会社にぶら下がるか」という二者択一です。でも、いきなり会社のコミュニティを離れ一人になってもまずうまくいきませんし、会社に残っても、会社に背を向けるような働き方をしていたら充実感は得られません。結局、二者択一の先にあるのは袋小路でしかなく、自分のこれまでとこれからについて深めていかなければ根本的な解決はできません。