自己PRの量産化は「ナビ離れ」を進める
リクナビの「OpenES」には2つの注目ポイントがある。その1つが共通ESの試みだ。これまでの就活生は企業ごとに異なる形式のESに記入していたが、リクナビはそれを独自の形式で共通化させた。この機能を利用する企業宛てなら何社でも同じESを送れるようにした。
共通ESを利用する就活生は、次の項目を必須で記入する。基本情報(氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、メールアドレス、証明写真)、学歴・職歴、自己PRなど。「自己PRなど」の詳細は、文字通りの自己PR、ゼミなど学業で取り組んだ内容、学生時代に最も力を入れたこと。最後のお題は「ガクチカ」と略称され、いまどきの就活のスタンダードだ。
それらに対し、就活生が記入するかどうかを選べる任意項目もある。主なものは、資格、趣味と特技、自己PRの写真、そして「紹介文」。設問の仕方が多様な志望動機は、「OpenES」を利用する企業が自由に設定、追加できる仕組みとなっている。
ニュースになって議論百出というか、批判が相次いだのは、任意項目の「紹介文」。これが「OpenES」のもう1つの注目ポイントで、つまりは就活生が他者による推薦文をESに掲載できる仕組みだ。その何が問題なのか。
この項目に関しては、紹介文を依頼する就活生の負荷の問題から、紹介者の個人情報の保護は大丈夫かといった問題まで、論点がいろいろある。
私の感覚では、就活生が自分をよく知る人にお願いして自分の魅力についての文章を書いてもらう、というコンセプト自体に首を傾げる。任意項目とはいえ、やらせ広告づくりのススメみたいだ。そう感じさせてしまう「紹介文」は、練りこみが足りないまま商品にされてしまった失敗企画だと思う。