とはいえ、私が就職活動をしていた頃で20社以上に応募書類を出して当然という空気だったのは、内定倍率が異常に高いので数を打つしかないマスコミ就職ぐらいだ。それがいまや食品メーカーなど、知名度があって就活生に身近なイメージの企業はみんな超高倍率、昔のマスコミ就職状態だ。
以前だったら、「うちの大学からは難しいだろう」と諦めていた層も含めて、就職情報サイトを使って自由かつ気軽に動けるようになり、人気企業の人気がますます上がる形で、就職・採用活動の世界が一挙に膨張したのだ。
で、人気企業に押し寄せた応募者は、まず「大学名」で足切りされる、と呟き始めた。「結局、偏差値かよ」という怨嗟の声が聞こえるようにもなった。
そして、時代はさらに変わろうとしている。現在、就活真っ最中の15年3月卒業予定者向けから、共通エントリーシート(共通ES)で応募できる企業が出てきた。就職情報サイトの雄であるリクナビが、「OpenES」という新機能を実装したのである。
昨秋にニュースが報じられて以来、就活関係者の間でさまざまな意見が飛び交っている。この記事が出る頃には、「OpenES」を使った共通ESの提出は一段落する。利用した就活生、企業の感想も聞こえてくるだろう。
はたして、かつてリクナビの登場が就職・採用活動を一変させたように、共通ESが新しい時代を切り開いていくのだろうか。結論からいえば、私にはそう思えない。