※本稿は、ハワード・ユー著・東方雅美訳『LEAP ディスラプションを味方につける絶対王者の5原則』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs
※写真はイメージです

オンライン移行後、売上高は10分の1に激減

1990年代中頃にインターネットが普及し始めると、リクルートはインターネットで情報を提供し始めた。市場首位のポジションを守るための、先を読んだ動きだった。1996年には新卒者向けの就職情報をオンラインで提供する「リクナビ」を立ち上げた。

ハワード・ユー著・東方雅美訳『LEAP ディスラプションを味方につける絶対王者の5原則』(プレジデント社)

多くの書籍出版社や新聞社と同様に、同社にとってもオンラインへの移行はほぼ命取りだった。伝統的な雑誌を廃止したために、オンラインでの広告収入に依存しなければならず、それによって利益は大幅に縮小した。

「移行前には、3つの形態が併存していた。書店で販売している分厚い雑誌、無料で配布する雑誌、そしてウェブマガジンだ」。リクルート経営コンピタンス研究所長の巻口隆憲は言う。「移行後は、無料の雑誌とウェブマガジンは継続したが、書店販売の雑誌は廃止した。売上高は10分の1になった。これが紙からインターネットへの、我々が経験した最初のシフトだった」。

リクルートにとって幸いだったのは、インターネットの利用者が2000年代の始まりとともに急増したことだ。日本のインターネットユーザーは、1995年の200万人から、2002年には6940万人になった。出版業界全体も、無料のオンラインコンテンツが優先される方向に完全にシフトしていった。