10年前はトップ争い、今は圏外のソニー
凋落がはなはだしいのがソニーである。05年は1位、10年も7位と堂々たる順位だったが、翌年から徐々に順位を下げ、昨年からついに100位に届かない圏外になってしまった。18位につける子会社、ソニーミュージックの後塵を拝する始末である。これはソニーだけではなく、他の電気機器業界も同様、業績悪化が原因だろう。
サントリーホールディングスとトヨタ自動車はどうか。10年前はともにトップ3に入る人気を誇っていた。なぜ順位を後退させているのだろう。
乾氏がこう明かす。「サントリーホールディングスの場合、10年までは『サントリー』で採用を行っていたのですが、翌年から『サントリーホールディングス』と『サントリー食品インターナショナル』の2つに分けてしまったのです。採用活動が2社に分かれてしまったのが最大の要因でしょう。さらに、ホールディングスがつくと、管理会社のようなイメージがありますので、学生が戸惑ってしまったのではないでしょうか」。
社名の変更が就職人気に影響するとは企業にとっても青天の霹靂だろうが、人気のためにもう一度、社名変更するわけにもいくまい。
トヨタ自動車は、近年は採用広告や合同セミナーに力を注いでいない。そのため、活動を始めたばかりの大学3年生には採用活動に積極的な他の企業のほうが身近に感じるのかもしれない。本腰を入れて活動するころには、当然、志望先の一つに挙がってくるだろう。
トヨタのように独自路線を貫く企業もあるが、乾氏によれば、全体の傾向としてこういった就職人気ランキングで上位に入ることを意識して動く企業は増えてきているという。
今後よりよい人材を確保するためにも、企業は自社の好感度を上げていくことが必須になのかもしれない。