終身雇用神話が崩れ落ちたご時世、大学生は何を求め、どんな企業に就職を望むのか。ランキングを紐解いてみると、地に足をつけたがる学生の本音が見えてきた。
ランキングを見て驚くのは総合商社やメガバンクなど高業績企業のオンパレードという点だ。昨年3月期に過去最高益を更新した総合商社は軒並み順位を上げている。
反対に業績不振の電機メーカーに象徴される輸出製造業の人気は低下している。巨額赤字の計上を見込むパナソニックは57位から83位に転落。業績回復を見込むトヨタ自動車も100位以下だ。ただし、電機メーカーの中でも高業績を誇る日立製作所、三菱電機の2社は順位を押し上げた。学生がいかに企業の業績に敏感になっているかがよくわかる。「学情ナビ」の乾真一朗編集長も「大手電機メーカーの何千人解雇や業績に関するニュースをちゃんと見ている。業績がランキングに影響しているのは確か」と指摘する。
また、総合商社や銀行は高収入企業でも知られる。「総合商社は30代前半で年収1000万円は超えるし、メガバンクも公的資金返済後に上がり、30代半ばで1000万円近い」(大手転職会社のコンサルタント)破格の報酬を誇る。人気企業のキーワードは「高業績」「高収入」に加えてもう1つが「高安定」だ。JR東海やJR東日本、東京メトロなど倒産の可能性が低い鉄道系に加えて、政府お抱えのゆうちょ銀行、日本郵政をはじめ日本銀行もランクインしている。
さらに目立つのは食品。100位までになんと19社がランクインしている。知名度が高く「広告での露出度の高い企業が人気上位に入る傾向はある」(乾編集長)が、もう1つは内需が中心でリーマンショックの直接的影響もなく業績も堅調という安定感も寄与しているのではないか。しかも女性の人気が高く、理系女子では消費者のブランドイメージが高いカゴメを筆頭にトップ10に食品が6社も入っている。