白井氏によれば、「ITの世界はいろいろなサービスが入れ替わり立ち替わりで生まれてきますので、ローソンさんどうですかというお話を結構いただいたり、これはいいと思ったら自分で話したりということをよくしてきました」とのことだ。日々勃興するソーシャルメディアのウェーブの先端で巧みにサーフィンを行っているようだ。

また、ローソンのコラボを語るうえで、決して欠かすことのできないものに、アニメとの融合がある。漫画家が夢だったという白井氏は、05年のリラックマのキャンペーンを最初に手がけた人である。そして、「あきこちゃん」が創造された10年4月に、今では伝説化している「エヴァンゲリオン・キャンペーン」を実施している。

ソーシャルメディアを担当する前から長らくエヴァンゲリオンを担当していた白井氏は10年4月23日、「ローソン箱根仙石原店」を「ローソン第3新東京市店」と改名し、内装も外観もエヴァのべールで覆ってしまったのだ。箱根は、物語の中で新首都となる舞台であったため、アニメの実写的な企画に興味を持ったマニアの間で大きな話題となり、非常に多くの来場者が詰めかけた。その数があまりにも多すぎ、トラブルが発生したため、このイベントはわずか2日で中止せざるをえなくなった。

当時の状況と、ソーシャルメディアとの関わりについて白井氏はこう振り返る。「こういったアニメのコンテンツは、ツイッターと非常に親和性が高くて、一言つぶやいただけでエヴァンゲリオン・キャンペーンが、一気に広がるという効果がありました」。

アニメ・コンテンツとソーシャルメディアとの好相性はつとに指摘されることだが、白井氏によれば、ツイッターやフェイスブックがない時代に、このような取り組みをしてもこれほどの成果は挙がらなかったのではないかと推察している。