目標設定力を磨き「大きな成果」を!
2000年に私はローランド・ベルガー日本法人の社長になった。当時、ローランド・ベルガーは日本ではほぼ無名だった。在籍するコンサルタントは数人、サポートスタッフを入れても10人以下という弱体オフィスだった。
私はそんな会社の社長に敢えてなった。「火中の栗を拾うようなもんだ」と助言してくれる先輩もいた。でも、私は一生に1度は誰かが敷いたレールの上を走るのではなく、自分の手でレールを敷いてみたいと強く思っていた。
就任早々、私は「日本における外資系戦略コンサルティング会社の三強に入る」という目標を掲げ、社員たちにも伝えた。みんなきょとんとした顔をしていた。「ホラを吹きやがって……」という空気が漂っていた。
戦略コンサルティング会社といえば、米国系が圧倒的に強い。なかでも、マッキンゼー、ボストン・コンサルティング・グループの存在感は際立っている。唯一欧州系で、知名度も実績もない当時のローランド・ベルガーからすると、雲の上の存在だ。そんな会社と並ぶ三強になるなど、当時は絵空事以外の何ものでもなかった。
それでも私は「三強入り」にこだわった。挑戦するからには、ほどほど、そこそこの目標は掲げたくなかった。ホラを吹いて、その実現のためにのめり込む。100%、120%の力を発揮するには、周囲からホラと言われようと、高い目標を掲げることが必要だった。ホラに共感してくれて、闘争心溢れる仲間も増えた。
それから10年以上が経過し、オフィスは100人以上の体制にまで成長した。「三強入り」できたかどうかはクライアントや周囲の評価に委ねるが、「三強入り」という目標によって私たちは「ほどほど感」に陥ることはなかった。
仕事で大きな成果を挙げている人を見ると、例外なく高い目標を心に秘めている。「ほどほど感」という危険な病に罹らないためには、スキルや知識を磨くこともさることながら、自らの目標設定能力を高めることが大切だ。