首都圏の中学受験の塾講師が言う。

「合格者が増えた巣鴨や桐朋などは、実績のダウンとともに、中学入試で入りやすくなってきていました。この実績アップで人気が上がることは間違いないでしょう」

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東大の20年ランキング[2011年]

最近の中学入試では、大学合格実績と翌年の志願者数が比例する傾向にある。実績が伸びれば入試で人気になるのだ。攻玉社は2011年の東大合格者数が4人減の14人にとどまっているが、10年には6人から18人の3倍に増えたため、入試で人気になった。東大合格者の増加は、前年の0から1人合格となっても志願者増になるほど影響力が大きい。

一方、2011年に開校以来最高の合格者数となったのが開智だ。浦和・県立に次いで県内第2位に躍進。もとは埼玉第一高で97年に中学を設置し、その後、校名を変更した。中学からの入学者は中高一貫部、高校からの入学者は高等部で別コースで学んでいる。

同じように新進の学校では、片山学園が注目される。富山県初の中高一貫校で、2011年に初めて卒業生を送り出した。卒業生は86人と少ないが、東大3人、京大2人などの高い実績を残した。

次に京大合格者が増えた高校を見てみよう。もっとも増えたのが天王寺で61(+30)人、次いで洛星63(+16)人、帝塚山28(+16)人、大阪星光学院53(+15)人、一宮20(+12)人、大手前45(+11)人など。近畿の高校を中心に合格者が増えている。なかでも天王寺、大手前は府立高だ。東京の進学指導重点校と同じように、大阪でも府立高が進学に力を入れ始めている。2011年の入試から橋下徹府知事の肝いりで、進学指導特色校制度が始まり、北野、天王寺、大手前など10校が選ばれた。普通科のほかに進学指導に力を入れる文理学科を新設。学区を超えて出願できるため、11年の入試で人気を集め、さらなる実績アップが期待されている。

この公立高の躍進は「東大の20年ランキング」からも読み取れる。1991年には10位に千葉・県立が入っているものの、ベスト30に入っていた公立高は5校にすぎなかったが、11年は7校に増えている。さらに顔触れも浦和・県立を除き、すべて入れ替わっている。私立ではこの20年で上位陣のメンバーはあまり変わらないが、渋谷教育学園幕張、女子学院、浅野など新しい学校がランキングに登場。私立、公立とも勢力地図が変わってきている。

(宇佐見利明=撮影 ライヴ・アート=図版作成)
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