県立千葉高校といえば、東大合格者数は毎年20~30人を数え、国公立医学部合格者も多く輩出する首都圏公立高校の名門。
その千葉高に千葉中が併設されて、今年で6年目になる。1期生が、来春初めて千葉高を巣立つ年だ。受験を前に、教育関係者からの注目が高まっている。

文科省が特例を認めた中高一貫校

旧制中学時代から残る講堂が、重厚な伝統を今に伝えている。

近年、都立小石川や桜習館など、中高一貫校化して成功した公立高校は多い。東大への合格者が何年も出ていない学校が、中高一貫校化して一気に5人の合格者を出したといったことも珍しくない。

しかし、千葉高が注目される理由はそれだけではない。実は文部科学省は一貫して「地域の一番校は一貫校化しない」としてきた。エリート校化を防ぐのがその理由と言われてきたが、千葉高校は例外として600万人の人口を擁する千葉県下一番校でありながら、中高一貫校化された異色の存在だ。

当然、千葉中への入学には高いハードルがある。1000人を超える志願者が適性検査と面接の2段階の試験によって、最終的に80人(男女各40人)にまで絞られる。かなりの狭き門だ。こうして選ばれた80人の内部進学者と、高校からの入学組240人が、来春大学受験を迎えることになる。

もともと高い進学実績が、どこまで積み上がるのか誰もが気になるところだろう。

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県立千葉高校の大学合格者数推移(千葉高校=データ協力)

「結論を言えば、東大合格者が爆発的に増えるなんてことは、ありえません」。県立千葉中・千葉高の高岡正幸校長は満面の笑みでそう答えた。

「千葉中に入学した生徒は、千葉中ができる前なら、高校から千葉高校に入学してきた子たちです。学力の層は変わっていない」(高岡校長)

さらに高岡校長は数字の捉え方にもくぎを刺した。

「東大合格者数だけを見ると、『ずいぶん年によって波があるな』とみなさん思われるかもしれませんが、実は上位生徒の成績も学年全体の平均も、そんなに毎年差があるわけではないのです。年によって国公立大医学部に志望者が偏ったり、京大志向が強まったりする。しかし、いずれにせよ東大・京大・東工大・一橋大・国公立大医学部合格者の総数は、例年さほど変わりません。来春も大きな変化はないとみています」(同)