「質の高い授業に加えて、こうした課外活動を支援しなければならないので、先生方はかなりのハードスケジュール。生徒から思いもよらぬ質問が飛んできて、質問を職員室に持ち帰るなんてことは日常茶飯事です。夏休みに外務省のプログラムで、生徒の引率役として北方領土に行ってきた先生もいました。部活の顧問としての仕事もあります。しかし、授業も部活も手を抜かずに指導をしてくれるので、生徒たちも喜んで参加する。それがまた先生方のエネルギーになっています」(高岡校長)

自由研究のテーマが「検非違使忠明」

こうした千葉中での教育の成果は、千葉高でも結実しつつある。

「内進生は高校入試がないので、知的好奇心を伸び伸びと生かせる場で、3年間を過ごします。彼らの持つ雰囲気や考え方が、熾烈な受験競争を勝ち抜いてきた外進生に非常に良い影響を与えている。プレゼンテーションや知識追究が上手な内進生と、勉強熱心な外進生がうまく刺激し合い、校内が活性化しているのは間違いない」というのが、高岡校長の見方だ。

たとえば、内進生が「少年の主張全国大会」で内閣総理大臣賞をとれば、外進生が世界でも選りすぐりの高校生が集まる科学コンテスト「ISEF(国際学生科学技術フェア)」の「地球惑星科学部門」で日本人初の部門最優秀賞を受賞する。知を高め合う連鎖が生徒の好奇心を際限なく高めていく。

千葉高では総合学習の研究発表の場として、「千葉高ノーベル賞」という表彰式を設けている。2013年度は、「コミュニケーション能力を向上させるには……?」「軍医療面から見た旧日本軍の衰退」「検非違使忠明」「ベートーヴェンのピアノ・ソナタ『悲愴』の独創性に対する彼の心理の分析」などが受賞した。

「内容は教員でも勉強になるもの。しかも、発表後の質疑応答がまたすごい。深いところまで理解していないとできないような質問がほかの生徒から出て、発表者がまたそれに答える。やりとりを見ていると、一流大学の講義かゼミを聞いているような熱気があります」(大山副校長)