※写真と本文は関係ありません。

聞き上手がそれだけ希少な世界だけに、「威張らず、黙って話を聞くだけでモテてしまうから簡単ですよ」と笑う山田氏だが、「年を取ったら、自分の話をタダで聞いてくれる人はいないと思ったほうがいい」と釘を刺す。

加えて、何よりも「ありがとう」が言えるか否かが重要なポイントだ。

「すぐに『ありがとう』を言えるおじいちゃん、おばあちゃんは可愛いし、そう言われ続けたいですね。一言言うだけで、お互いの関係はぐっとよくなります。スタッフに『妻には感謝している』と口では言うけれど、実際に奥さんから何かしてもらったときにお礼を言えない方もいます。奥さんは『1度もありがとうを言われたことがないんですよ』と不満ばかり。お礼1つで救われる家族もいるのに」(加藤氏)

「『ありがとう』はまず形から。言うことが大事で、気持ちは後からついてきます。心を込めなきゃ、などと思っているから言えなくなる」(天野氏)

直接伝えないことを、何かの美学と錯覚する向きもある。以心伝心、「言わずともわかってくれている」などという都合のいい神話を信じてはならない。言わなければ伝わらない、という当たり前の事実に気づくべきだろう。

(宇佐見利明=撮影)
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