逢坂氏は、自己啓発系の本をメンターの代わりにしていたという。
「私は自己啓発書を読むと『この人が成功したのだから、私にもできないはずはない』と根拠なく信じられるタイプ。自分のメンタルを支えるために、読書の全体の2割は自己啓発書を読むようにしていました。外資系金融機関には、私より頭のいいアカデミックスマートが大勢いましたが、専門書ばかり読み、自己啓発書のようなものを馬鹿にしていた人はみな、途中で挫折して去っていきました」
勉強の継続は大事だが、間違った方向に進んでいるなら、途中で切り替えることも重要だろう。向いていないとわかったときに途中でやめるかどうかを質問したところ、もっともその勉強に固執するのは、意外にも年収800万円台だった(図2)。この結果を藤川氏はこう分析してくれた。
「年収500万円台の人がすぐやめるのは、軌道修正というより根気がないからでしょう。一方、1500万円台の人は効果がないものに執着しない。家計の相談を受けていても、お金持ちほど無駄なものをばっさりと捨てる技術に長けています。それに対して800万円台の人は中途半端。この層は家計でも見栄を張って浪費しがちなのですが、勉強にもその傾向が表れている」
お金持ちほど執着心が薄い傾向は、勉強法についてのスタンスにも表れている。効果が出ないときに勉強法を切り替えるという人は、1500万円台がもっとも多かった(図3)。見切りの技術は、ぜひ身につけたいところだ。
(調査概要/楽天リサーチを通じて、ビジネスパーソン999人より回答を得た。調査期間は12年6月21~24日。図は、「Q.現在、勉強しているものの数」でゼロと回答した方を省き、全体数は334人。)
生活デザイン代表取締役。1968年、山口県生まれ。慶應義塾大学卒業後、自動車会社を経てファイナンシャルプランナーに。2001年に現在の会社を設立以来、「家計の見直し相談センター」で1万3000世帯を超える家計を診断する。
資産運用コンサルタント。ニューヨーク大学卒業。モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント、ゴールドマン・サックス証券、ドイツ証券を経て、2005年に独立・起業。現在は執筆業、資産運用やキャリアアップなどの講演・セミナーを行う。