出世する人としない人はどこが違うのか。人材コンサルタントの井上和幸さんは「平社員と課長と部長では、会社が期待する役割はまったく違う。そのことを理解していなければ、出世を重ねることはできない」という――。
会社や上司の求めに堅実に取り組んできたのに…
「一生懸命頑張って、真面目に仕事をしているのに、なかなか昇進させてくれないんです」。そう悩みを話すのは、医療系の中堅メーカーに勤務するAさん(38歳)です。新卒入社以来、これまで15年、研究開発部署からスタートして部門内の総務、購買へと異動してきました。
会社や上司から求められることに堅実に取り組んできた。ですが、同期が次々と昇進していく中で、Aさんは昇進できない。いったいなぜでしょうか。
人材のタイプは、企業・組織構造から見て、大きく次の4つに分類されます。
1.「原価人材」
2.「販売管理費人材」
3.「投資科目人材」
4.「事業利益連動型報酬人材」
2.「販売管理費人材」
3.「投資科目人材」
4.「事業利益連動型報酬人材」
それぞれについて見ていきながら、Aさんのお悩みにお答えしましょう。その際、PL(損益計算書)の構成をイメージしていただくと理解しやすいと思います。
平社員=原価人材とは「言われた作業をする人」
まず「原価人材」とは、「言われた作業をする人」を指します。
PLの「原価」欄に該当する仕事をしている人です。もちろん会社にとって大切な役割ですが、この人が行う業務は、事業や会社運営のためのコストに当たります。
コスト業務なので、会社や上司としては、基本的には「より安く」業務をしてほしいのです。
では、原価人材には給与UPのチャンスはないのでしょうか?
そんなことはありません。原価人材は「スキルや経験を磨くことで時間給が上がる」という働き方をしています。つまり、時間当たりの生産性を上げることで、その分、昇給することが可能です。