事業利益連動型報酬人材とは何か

最後に、部長から役員への昇格の壁を簡単に説明します。

それは、「投資科目人材」から「事業利益連動型報酬人材」へと、さらに自らを転換できるか否かです。

「事業利益連動型報酬人材」とは、事業がもたらした利益からの分配で報酬をもらう人材です。事業自体の仮説や方針を立て、その実現のために組織を動かせる人、つまり、経営人材と同義です。

昇進とは職位が一直線上に上がっていくことではない

以上、職位から見た4つの人材タイプをご紹介しました。

出世とは、この4タイプの間をまたぐことです。

「原価人材」(一般社員)から「販売管理費人材」(幹部人材)へ、「販売管理費人材」(幹部人材)から「事業利益連動型報酬人材」(経営人材)へと転換していくことを意味します。

決して、一般社員→係長・課長→部長→執行役員→取締役、と一直線に連続的に肩書が上がっていくことではないのです。

別の言い方をすると、そう考えている以上は出世の階段を上がることができません。それは、4タイプの人材が、求められること、なすべきことがまったく異なるということから、ご理解いただけると思います。

日の当たる階段を上るビジネスウーマン
写真=iStock.com/peshkov
※写真はイメージです

幹部クラスやリーダークラスの方々が「自分に上の役割を任せてくれない」という不平不満を口にされるのを、私も幹部転職支援の場面で折々拝見しますが、それは、「販売管理費人材」レベルの仕事にとどまっている人には「投資科目人材」レベルの役割は任せられないし、「投資科目人材」レベルどまりの仕事なら「事業利益連動型報酬人材」レベルの役割は任せることができないからです。

この転換を理解しているか否か。理解し、自らの考え方・視界・動き方を、キャリアの中で折々に転換できる人が、出世する人なのです。

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