「見えないルール」だらけの会社組織で生き抜くには
JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー=伝統的な日系企業)には、いわゆる「お辞儀ハンコ」に代表される合理的に説明できない「しょうもない文化やルール」が多数存在する。そんな見えないルールだらけの不条理な会社組織で「コスパ良く」働くための仕事術を記したのが、『雑用は上司の隣でやりなさい』(ダイヤモンド社)だ。
著者の「たこす」さんは、本部公認で副業としてブログを運営する、年収1400万円の現役メガバンク行員だ。10年以上にわたってメガバンクという極限の環境で生き残り、同期最速で出世街道に乗ることに成功しているという。
一方、筆者は5年前に某メガバンクに入社したものの、JTC特有の社内文化に適応できず、心を壊して1年半で退職するという憂き目に遭っている。
そんな銀行員としては完全に「負け」の立場ながら、おこがましくも定期的にメガバンクにまつわる記事を書かせていただいている。
銀行員時代の筆者には何が足りなかったのか。ファーストキャリアは同じでも「真逆の人生」を歩んでいる現役エリートメガバンク行員・たこすさんにお話を聞いた。
「雑用は上司の隣でやりなさい」の真意
――本のタイトル『雑用は上司の隣でやりなさい』とは、どういう意味なのでしょうか。
僕は若手時代にコピー機のトナー交換、紙の補充、物品の購入申請、上司のシャチハタに詰まったゴミをつまようじで取り除く業務……など、挙げたらキリがないほどの雑用を手掛けてきました。
これらの雑用が今の僕の会社員としてのスキルに何かプラスの影響をもたらしているか、と聞かれたら、胸を張って「No!」と答えられます。一方で、「今のキャリアを得るためにこの雑用が活きたか?」と聞かれたら、「実は結構役に立った」と答えます。雑用は、取り組み方次第で自分の「社内からの評価」にプラスの影響を与えるからです。
ここで重要なポイントのひとつが、タイトルにある「上司の隣でやる」ということです。
雑用は、そのクオリティよりも「誰がやっているのか」を認知させるほうが大事です。意識的に他人の目が多いタイミングで取り組むだけで、「雑用を多くこなしているがんばり屋」というキャラクターが定着するからです。
ただし、露骨に見せつけるのではなく、あくまで上司や先輩が「あなたが雑用をやっている」とギリギリ意識できるくらいのさり気なさが重要です。具体的なポジション取りとしては、上司の正面ではあまりに不自然なので、「左右どちらかの隣」くらいがベスト。視野に入るか入らないかくらいで、「アピールせずに存在を認知させる」というわけです。