電車に乗ったら乗ったで、会社に行ったら行ったで、心に何かしらの波風が立ち、いらだちを覚える――。周囲の人間との関係に影響されずに、心の平穏を保ち感情的にならずにすむ秘策を、精神科医が伝授する。

感情を制御できないのは「大人げない人」

社会で生きている多くの人は、たとえ悪感情を心のなかでわき上がらせていたとしても、吐き出すことなくのみ込んでしまうことがほとんどです。感情に任せて怒鳴ってしまえばパワハラだととがめられ、今どきは警察のお世話になることもある。だから人は感情を必死にのみ込むのです。

ただし、そうして感情の暴発を我慢できたとしても、悪い感情そのものが消えるわけではありません。心にくすぶる悪い感情は、その人を不機嫌にします。そんなピリピリした人に周囲は近づきたがらないでしょうし、感情を制御できない大人げない人と思われて、周囲を不快にさせてしまうのです。

あげく、人間関係をつくったり、ビジネスチャンスをつくったりする機会を失ってしまうことも多い。つまりいくら怒るのを我慢していても、不機嫌な感情が顔に出てしまえば、結局、怒鳴ったり、暴力を振るったりすることと大きな違いはないということです。

この悪い感情について、神経症の治療法として世界に知られている「森田療法」では、こんな法則が言われています。「感情は放っておけば、だんだん収まってくる」。怒る、悔しがる、憎む、疑う、嫉妬するなどの感情を持つことは、人なら仕方のないこと。そうした感情がわき上がるのを止めることはできません。

では、どうしたら感情をうまくコントロールして、感情的な行動を取らずにすませることができるのでしょう。いつまでも考えすぎて感情をさらに煮詰めてしまったり、こんなことで怒っている自分の器の小ささを悔やむことはお勧めできません。それより嫌な感情は、とにかく「放っておく」ことが、一番の対処法なのです。

つまり嫌な感情を引き起こした原因のことは忘れて、別のことに打ち込む。例えば、悪い感情に振り回されて悶々とする時間を、仕事や作業など別のことに使うのです。そのうちあなたをランチに誘ってくれる人や、あなたの仕事ぶりをほめてくれる上司などが現れれば、もうこちらのもの。すっかり機嫌がよくなって、「なんであんなに腹を立てていたのか」と、ケロッとしている自分に気づくでしょう。

感情というのは、形が見えないものです。それだけにいくら考えても、収めたり、どこかに追いやる絶対的な方法はありません。それより、現実世界で変えられるものから変えていくのがいい。気持ちを切り替える前には、ひとまず悪い感情を断ち切るためのワンクッションも必要になります。

では具体的には何をするか。まずは怒りを消すことができる15のメソッドを紹介します。

3秒かけて深呼吸、酸素が理性をうながす

機嫌の悪さが顔に出ると損! 悪感情をうまく吐​き出すコツ

私が編み出した怒りを消す方法は、誰にでもすぐできる簡単なことがほとんどです。感情が爆発しそうになったとき、原因を探ったり、自身の器の小ささを反省したりする時間はありません。一瞬で気持ちを切り替えられるこうしたきっかけを自分に与えてやることが重要になります。

このようなメソッドは怒りなどの悪い感情をコントロールするだけでなく、理由もなくイライラするなど、原因不明の気分のムラをリセットするのにも役立ちます。1つがうまくいかないときは、別の方法というように、いろいろ試してみてください。