日産は「再生」できるか
日産自動車(日産)が現在、経営の危機的状況にあることは、既知の事実となっていますが、「再生」に向けて着実にその歩みを進めていくことはできるのでしょうか。
日産にとって2025年は、本田技研工業(ホンダ)との提携破談という結果で幕を開けました。この破談は、日産の経営に外部から梃子の原理として働くこととなり、経営陣を刷新して、リストラ計画と成長戦略により再生を図ることが急務であることを強く日産に認識させるものとなりました。
しかしながら、イヴァン・エスピノーサ氏が、内田誠前社長の後任として新社長に就任したのは4月1日で、ホンダとの経営破談が発表された2月13日から概ね1カ月半もの期間が経過してのことでした。
その後、エスピノーサ社長が中心となり、経営再建計画に取り組むことになりますが、「Re:Nissan」を発表したのは5月13日で、くしくも経営刷新にかかった期間と同じ1カ月半を要することになりました。しかし、こちらについては、このような短期間で社内の総意を集約して難題なリストラ計画を取りまとめ上げたという点で、十分評価に値すると言えます。
リストラは“待ったなし”
リストラ計画の焦点は、旧経営陣が進めてきた拡大路線を縮小路線に転換して高コスト体質の脱却による構造改革を図ることで、2027年度末までに国内外にある7つの完成車工場を閉鎖することと、世界従業員数の15%に相当する2万人を削減することが主な計画として示されることになります。この時点では、まだ具体的な工場名までは示されていませんでした。
閉鎖する完成車工場が具体的に示されたのは、約2カ月後の7月15日で、国内では、追浜工場(稼働率44%)と日産車体の湘南工場(稼働率36%)の2工場で、車両生産の終了は、計画通り2027年度末であることを発表しています。
懸念されるのは、車両生産の終了時期です。2025年3月期の純利益が6708億円もの赤字に陥ったことを考慮すれば、リストラを待ったなしで進めていくことが必要不可欠であるため、終了はなるべく早い時期、たとえば、2025年度中に前倒しすることが求められることになります。
実際、国外では、7月30日にメキシコのシバック工場での車両生産を終了することを発表しており、こちらは2025年度中に、同じメキシコ内にあるアグアスカリエンテス工場に車両生産を統合する計画を示しています。

