「なぜ自分だけがこんな思いをするのか……」とつらく感じる痛み。しかし、本当はみんな同じような体験をしている──。痛みはどんなときに起こり、どうやって治しているのか? 経験者の回答から痛みとのつきあい方を学ぶ。

【アンケート調査の概要】2025年6月13~18日、プレジデントオンラインのメールマガジン購読者を対象に「肩・腰・膝アンケート調査の概要 の痛み」に関する調査を実施。1615人から回答を得た。

97.6%――。約1600人の読者に対してアンケートを実施したところ、「今まで肩・腰・膝に痛みを感じたことがある」と回答した割合は、冒頭の数字にのぼった。ほとんどの人が当該部位の痛みを体験したことになる。

特に目立つ部位は腰。「この1年で痛みを感じたことがある」は71.5%もあった。「継続して痛みを感じた期間」でもっとも多かったのは「3年以上」(27.8%)、「最初に痛みを感じた時期」は40歳未満が4割を占め、多くの人が痛みとつきあいながら生活を送っていることがうかがえる。

【図表】最初の経験、期間、頻度……慢性痛の「いつ」に迫る

原因不明の痛みは整形外科では解決しない

体に痛みを覚えたとき、どの施設に行くのが適切なのか、迷ったことはないだろうか。「肩・腰・膝の痛みが原因で医療・施術施設に行ったことがある」という人は82.8%おり、「行った施設」で突出しているのが、「整形外科」(79.2%)だ。背中と首の痛みに悩まされた経験を持つ医療ジャーナリスト・木原洋美さんは「整形外科は痛み治療の『与党』。第一選択肢としては妥当です」と説明する。

「痛みがあるのだったら整形外科、しびれがあるのだったら脳神経外科・内科などに行って、CTやMRI検査をして重篤な病気ではないかを確認する必要があります。そこで原因が判明したら、医師の指導のもと治していけばいい。ただし、原因がわからない場合、整形外科に通い続けても問題は解決しません」

【図表】「整形外科」が一強?痛み改善のために行く施設

痛みには急性痛と慢性痛があり、前者は組織の傷害などはっきりした原因があって生じる。一方、後者は原因が不明確で、組織の損傷、神経系の疾患、社会的なストレス、体の動かし方など複数の要因がからみあっていることが多い。

「こうした要因が複合的に影響していると、画像診断頼りの整形外科では正確な原因がわかりません。しかし医師は『わかりません』とは言わず、『おそらく××でしょう』と痛み止めなどの薬や電気治療でおざなりな対応をしがちなので、それを鵜呑みにしてはダメ。原因不明であれば慢性痛の診断と治療を行うペインクリニック内科を受診しましょう」(木原さん)

そこでも改善する気配がなければ、紹介状を書いてもらって集学的治療をしている病院に行くのがベストだという。厚生労働省が慢性疼痛診療の普及と拡大を目的として「集学的痛みセンター」を認定しており、2025年6月時点で全国各地に45施設がある。

また、痛みの症状がひどい場合、整形外科では手術を勧められることもあるだろう。「外科手術を受けたい」(22.3%)より「受けたくない」(73.9%)ほうが圧倒的に多いが、病院選びは慎重さが求められる。

「そもそも慢性痛は、外科手術は意味がないことがほとんどです。どうしても手術が必要となった場合には、医師の能力はピンキリで、免許取得後に勉強を怠っている人も少なからずいますから慎重に検討してください。病院のホームページを見て、治療実績は必ず確認しましょう。症例を学会で発表している医師、最新の治療法であれば権威のある医学誌に論文が掲載されている医師も信用に足ります」(同)