経理や会計担当者だけでなく、ビジネスパーソンなら誰もが「会計思考」を持つことで、人生をより豊かにすることができるといいます。仕事ができる人、儲かる人なら知っている「会計思考」とは、どんな見方、考え方なのでしょうか――。

「会計思考」と「家計思考」との違い

私が人生を豊かにしていくうえで重要だと考えている「会計思考」を言い換えると、「バランスシート思考」になります。このバランスシートとは、会計における「貸借対照表」のことを指します。一方、多くの人が無意識のうちに身に付けていて、会計思考の対極に位置するのが「家計思考」です。そうした家計思考の人で、家計の管理でよく活用しているものが「家計簿」なのです。

家計簿は、今月の収入がいくらあって、今日は食材でいくら使い、衣服を購入するのにこれだけの出費があっただとか、お金の「入りと出」をチェックしながら残金を把握していきます。そして、「使いすぎだから、少し節約しなくては」などと、家計の調整を図っていくものです。そのベースになっているのが、「収入として得たお金は、生活のための消費に回すもの」という消費を主体とした考え方であり、家計思考は「消費思考」と言い換えることができます。

(構成=伊藤博之 撮影=横溝浩孝 図版作成=大橋昭一)