職場の雰囲気を良くするにはどうすればいいか。弁護士の西脇健人さんは「職場に『困った人』がいると、周りの人に好ましくない影響を与え、会社に損失をもたらす可能性がある。このような問題社員を放置してはいけない」という――。

※本稿は、西脇健人『「円満退職請負人」が教える! 全員が幸せになる「トラブルなし」で問題社員に1ヶ月で辞めてもらう方法』(翔泳社)の一部を再編集したものです。

「殺すぞ!」と怒鳴り散らすベテラン職人

ここでは、「問題社員」について理解を深めていただくために、実際に当事務所で取り扱った企業側の退職代行サービス「Resgent(リスジェント)」の事例について、いくつかのパターンを見ていきたいと思います。

この事例で「うちのケースも問題社員なんだ」という判断材料にしていただければ幸いです。

事例1 世代交代に伴い問題社員化するパターン

業種: 製造業

問題社員: もともと、かなり高度な技術を持つベテラン職人。丁寧な教え方が評価され、若手からの信頼も厚く慕われていた。

問題行動: ある時から、若手に「これやっておけ」「代わりに行ってきてくれ」と言って、仕事を押し付け、自分は仕事をサボることが増えた。そのことについて意見を言うと、「殺すぞ!」など猛烈な勢いで社内で怒鳴り散らし、暴れ出すといったパワハラ行為を繰り返していた。

また、「俺は会社のために良かれと思って指導しとるんだ」「若手のためを思って厳しく指導してるんだ」と自分の言動を正当化する。

ほぼ引退している社長の言うことは聞くが、現在実権を持つ社長の息子、副社長の言うことは何にも聞かないため、コントロール不能な状態であった。

建設現場で指示をする現場監督
写真=iStock.com/koumaru
※写真はイメージです

嫉妬やプライドにより「モンスター化」

このパターンのように、若手社長が家族経営の二代目という場合、世代交代に伴い、ベテランが問題社員化するパターンは多いのです。

問題社員は、副社長である息子さんよりも長く会社に勤続しています。そのことから、自分の努力や貢献を無視されていると感じる、または、新体制の方針に同意できないなどの理由から、不満が生じてしまうことも少なくありません。

また、自分よりも経験が浅い若者が急速に権力を握ると、嫉妬や凝り固まったプライドによって問題行動に繋がってしまうこともあります。

このケースは結果として、長く働いてもらったことに感謝しつつ、円満退職していただくこととなりました。