ロコンド代表取締役社長 
田中裕輔氏

マッキンゼーではどうかというと、ロコンドの田中裕輔氏は「『Why?』と『So What?』は、仮説の検証の段階などでデータやファクトを読み込むときによく使われる。失業率アップというデータがあれば、『Why?』を問うことで景気が悪化して解雇者が増えたという原因が引き出される。そして『So What?』と問いながら無給者が増え、消費に悪い影響を与えるといった失業率アップの意味合いを考えていく」という。その繰り返しによって最適な仮説が導かれ、実効性をともなった問題解決策へ近づいていくわけだ。

では問題解決の思考法を活用してきた経営者たちは、企業経営という実践の場でそれらをどう活用しているのだろう。

ネット事業への過大な投資で弱体化したUSENの経営基盤の立て直しを担う中村氏は「主軸の有線放送事業の営業戦略について自分なりの仮説を持っていた。それを社内での議論を通じて検証を重ね、現場に落とし込みやすいようファインチューニングを行い、11年9月から全国展開している」と語る。

同じ顧客でも喫茶店やバーなどの個店と外食チェーンとではニーズが異なり、営業手法も変わってくる。そこで顧客をきっちりとセグメント化し、おのおのの顧客に合わせたスキルを身につけた営業マンを別々に組織化した。そして契約を長期間継続してもらえるように営業アプローチをかけ始めたのだ。そうした結果、業績が急回復に転じ、12年1月に発表された11年9~11月期の連結営業利益は前年同期比74.3%増の24億9600万円となっている。