クルマをお客さまに早く届けるために、生産現場ではリードタイムを短縮する工夫をし、ムダをなくしてきた。 一方で、販売店ではクルマが何十日も滞留し続けていた。豊田章男の、販売現場での奮闘が始まる。
第二章 トヨタ自販とTPS

販売に導入されているトヨタ生産方式

トヨタ生産方式(TPS)がもっとも進化した生産工程を見ることができるのは元町工場のラインだ。そして、今、同方式は生産工程にとどまらず、販売まで導入が進んできた。物流ではジャスト・イン・タイムを目指した調達部品、完成車、補充部品の3つの物流に同方式が導入され、カイゼンを続けている。

最後に残ったのが販売だった。実は販売に関しては1996年、まだ課長だった豊田章男が導入を試みたことはあった。その後、活動は継続していたものの、それが2020年を過ぎて、導入が本格化し始めた。